盆踊りの唄は選ばれた特定の唄い手によって唄われ、次の継承者を定めて次々と受け継いでいく形をとりながら、今日に至っています。昔のスタイルそのままに、唄い手は櫓の上で生唄を披露し、踊り手はそれをぐるりと囲んで輪になり、唄に合わせて踊ります。現在唄われているのは「鈴木主水」。歌詞の内容は江戸が舞台なので、やはり花のお江戸の流行歌が伝わったのでしょうか。他にも「須磨の関守」「辨天様」の唄があるといわれています。
●「佐久島の恋人たち」の島巡り 盆踊りの唄にまつわる悲恋伝説 おしん茂市物語 江戸通いの船頭茂市は、ある日近海で時化に遭い、島の船宿に宿泊しました。そこで働いていた娘おし んと恋仲になったのですが、やがて茂市は江戸へ向かう途中に遭難して亡くなってしまいました。身重 の体を抱え、世をはかなんだおしんは、大明神の岩先(島の南部)から身を投げました。二人を哀れんだ 島びとたちは、おしんが茂市から伝え聞き、好んで歌っていた唄を、盆に歌い踊って霊を慰めました。