筒井 私と妻はこの島の出身ですが、40年
以上も離れていたので、Uターンよ
りはIターンに近いかな。でもいつ
かは必ず戻るつもりでいました。
河合 私たちは10年ぐらい前に遊びに来て
以来、この島に憧れていたんです。
勝代 海が大好きなんですよ。自営業をし
ていたんですけど、引退後は好きな
土地で好きなことざんまいしたいと
思ってました。
河合 でも移住の直接のきっかけは野田さ
んご夫婦なんですよ。
野田 えっ。
河合 野田さんが出演したテレビ番組を見
て、もうたまらなくなってね。
勝代 それですぐ船に乗りました。島の人
に野田さんのことを聞いたんですけ
ど、そのときは会えずじまい。
河合 次に来た時、初めて会えました。
野田 そうだったんですか。
水谷 私たちもテレビがきっかけです。た
またまテレビでほんの一瞬、佐久島
の情報を見かけたんです。自然の豊
かな所を探してあちこちの山や海を
見に行っていたんですが、決め手が
なくて困っていた時でした。
ひろ子 私たちは桑名で懐石料理店をやっ
ていましたが、手づくりや自然の素
材にもっとこだわりたくて、場所を
探していたんです。
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水谷 テレビを見てすぐ役場に問い合わせ
ました。初めて来た時、野田さんご
夫婦とも会えましたね。
ひろ子 その後しばらくして土地の情報を
得て、移住を決めました。
野田 私は京都の山奥で木工の仕事をして
たけど、山奥とはいえ陸続きだと
やっぱり忙しさから逃れられない。
島なら自分のペースでやれると
思って。
京子 一緒に島で暮らそう、というのがプ
ロポーズの言葉です(笑)。いろんな
島を探しましたよ。
筒井 何が決め手だったんですか?
野田 この島にはカーフェリーが来ないこ
と。地図で見つけて実際に見に来て、
すごく気に入りました。
水谷 私たちも屋久島や伊勢志摩にも行っ
たけど、イメージが合わなかった。
佐久島は雰囲気が明るいんです。
野田 そうそう!
京子 人が少なくてもあたたかい印象を受
ける島ってあるんですよね。
河合 私たちもいろんな島へ遊びに行った
けど、ここが一番だと思いました。
筒井 そういうことは、故郷に帰ることし
か考えていなかった私にはわからな
いことだから、ちょっと驚きです。 |
河合 ぶらぶらしてます(笑)。好きな釣り
ざんまい。まさに悠々自適です。
勝代 私はモノを作ることが好きなので、
島の材料で押し花やつる籠を作った
りして楽しんでます。ちぎり絵とか
パッチワークとか、やりたいことが
まだまだいっぱい。もちろん、主人
と一緒に釣りにも行きますよ。
河合 特に何もしてなくても、時間が過ぎ
るのが早い。楽しいからかなあ。
野田 私は散歩を欠かさない。散歩をしな
いとストレスがたまっちゃう(笑)。
筒井 この島には歩く楽しみがあるね。
水谷 ここへ来てから車は使ってません。
ひたすら歩いてます。
ひろ子 私たちはお店で使う食材を手づく
りしています。野菜もお米も。
勝代 米づくりってたいへんでしょう。
水谷 荒れた田を耕すところからスタート
しました。たいへんなのは雀の攻撃
かな(笑)。本土の比じゃない。
ひろ子 生活排水の流れ込まない場所で作
っているので、すごく良質でいいお
米になりますよ。
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京子 野菜は島で売ってないから、もらう
か作るか、どちらかですね。
筒井 私たち夫婦は野菜も作ってますが、
漁業も少しばかり。
河合 出荷もされてるんですか?
筒井 いやあ、趣味みたいなもんです。漁
協には入ってますけどね。趣味と実
益を兼ねて。
野田 私は本業の木工をマイペースでやっ
てますけど、春はアサリ漁に精を出
してます(笑)。
京子 私も一緒にアサリ漁。ふだんは好き
な絵を描いています。
筒井 私は両親の家を直して住んでいるけ
ど、みなさんは?
河合 最初は家を借りて仮住まい。家づく
りから島暮らしを始めました。
野田 私たちは民宿に泊まって借家探し。
いい物件が見つかったけど、手直し
に半年かかりました。
京子 京都から通って修理したんです。
水谷 私たちの家づくりは野田さんにお願
いしました。古い民家の廃材などを
利用して、素敵な作品になりました
よ。私たちはお手伝いしただけ(笑)。 |